親が暮らしていた実家。
子どものころの思い出が詰まった家も、親が亡くなったり、施設へ入居したりすることで、誰も住まなくなることがあります。
「実家を空き家のままにしておいても大丈夫?」
「固定資産税はどうなるの?」
「古い家でも売れるの?」
「解体するには、いくらかかる?」
「松本市や安曇野市に補助金はあるの?」
そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実家は、大切な家族の思い出が残る場所です。
しかし、誰も住まなくなった住宅には、管理や税金、相続などの問題も生じます。
今回は、実家を引き継いだときに知っておきたいことを、管理・活用・売却・解体の順番で詳しくご紹介します。
松本市・安曇野市の相談先や補助制度も取り上げます。
※この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。制度や補助金は変更・終了する場合があります。
1.実家が空き家になったら、まず何をする?
実家に誰も住まなくなった場合、最初に行いたいのは建物と財産の状況確認です。
特に次の項目を確認しましょう。
- 土地と建物の所有者は誰か
- 相続登記は済んでいるか
- 固定資産税はいくらか
- 建物に雨漏りや傷みはないか
- 電気・水道・ガスの契約はどうなっているか
- 火災保険の契約内容はどうなっているか
- 家の中に貴重品や重要書類が残っていないか
- 近隣に迷惑をかける状態になっていないか
特に注意したいのが、建物の名義です。
親が亡くなっても、土地や建物の登記名義が自動的に子どもへ変更されるわけではありません。
相続によって不動産を取得した場合は、原則として取得を知った日から3年以内に相続登記が必要です。
2024年4月から相続登記が義務化され、以前に発生した相続にも経過措置が設けられています。
名義が何代も前のままになっている場合は、早めに法務局や司法書士に相談しましょう。
2.空き家を放置するとどうなる?
誰も住んでいない家は、思った以上に早く傷むことがあります。
人が暮らしていれば、窓を開けたり、掃除をしたり、設備の異常に気づいたりできます。
しかし、空き家になると、そうした日常の管理が行われなくなります。
空き家で起こりやすい問題
① 雨漏り・建物の老朽化
屋根や外壁の傷みを放置すると、建物内部まで劣化が進むことがあります。
② 庭木や雑草の繁茂
隣家や道路にはみ出すと、近隣トラブルにつながる場合があります。
③ 害虫・害獣の発生
ネズミやハチなどが住み着くこともあります。
④ 防犯上の問題
不法侵入や不法投棄などのリスクが高まります。
⑤ 倒壊や落下物による事故
建物の一部が落下するなどして第三者に損害を与えた場合、所有者などが責任を問われることがあります。
空き家は、誰も住んでいないからといって、管理しなくてよいわけではありません。
3.空き家の固定資産税はどうなる?
空き家になっても、土地や建物の固定資産税は原則としてかかります。
住宅が建っている土地には、一定の要件を満たす場合、住宅用地の特例が適用されます。
住宅用地の固定資産税の特例
| 土地の区分 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡まで) | 評価額の1/6 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える一定部分) | 評価額の1/3 |
※都市計画税には別の軽減割合があります。
「空き家の固定資産税が6倍になる」は本当?
ニュースなどで「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる」と聞いたことがあるかもしれません。
しかし、空き家になっただけで、自動的に固定資産税が6倍になるわけではありません。
管理状態が悪く、行政から「特定空家等」や「管理不全空家等」として必要な勧告を受けた場合などには、住宅用地の特例が適用されなくなることがあります。
その結果、土地の固定資産税が大きく増える可能性があります。
ただし、実際の税額は評価額や税負担の調整措置などによって異なるため、必ず6倍になるという意味ではありません。
空き家を適切に管理することは、建物を守るだけでなく、税金の面でも大切なのです。
4.空き家は「特定空家」になることも
空家等対策特別措置法では、管理が不十分な空き家への対応が定められています。
特定空家等とは?
倒壊などの危険がある、衛生上有害となるおそれがある、景観を著しく損なうなど、一定の状態にある空き家です。
管理不全空家等とは?
そのまま放置すると、特定空家等になるおそれがある状態の空き家です。
行政は状況に応じて指導や勧告などを行います。
勧告を受けると住宅用地の税負担軽減が受けられなくなる場合があり、特定空家等ではさらに命令や行政代執行などの対象となる可能性もあります。
「古い家だから仕方がない」と放置するのではなく、早めの点検と対応が重要です。
5.実家を残す?売る?貸す?解体する?
空き家になった実家には、主に4つの選択肢があります。
| 選択肢 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| そのまま所有・管理 | 思い出の家を残せる | 税金・維持管理費がかかる |
| 売却する | 管理負担を減らせる | 売却価格や税金の確認が必要 |
| 賃貸する | 家賃収入を得られる可能性 | 修繕費や管理責任が生じる |
| 解体する | 老朽化による危険を減らせる | 解体費用や土地の税負担に注意 |
どの方法がよいかは、建物の状態、立地、家族の希望、費用によって異なります。
例えば、松本市や安曇野市でも、市街地の住宅と山間部の住宅では、売却や活用の条件が大きく変わることがあります。
大切なのは、最初から解体や売却を決めつけないことです。
まずは建物の状態と不動産としての価値を確認しましょう。
6.空き家を売却する方法
実家を売却する場合、一般的には不動産会社へ査定を依頼します。
売却方法には、主に次のようなものがあります。
① 建物付きで売却する
まだ住める状態の住宅なら、中古住宅として売却する方法があります。
② 古家付き土地として売却する
建物の価値がほとんどなくても、土地に需要があれば売却できる可能性があります。
③ 解体して更地で売却する
建物を取り壊してから土地を売却する方法です。
ただし、解体費用をかけても売却できるとは限りません。
また、道路への接道状況や建築規制によって、建て替えが難しい土地もあります。
解体する前に、不動産会社へ相談することをおすすめします。
査定は複数社に依頼する
不動産の査定額は会社によって異なる場合があります。
可能であれば複数社へ相談し、価格だけでなく、売却方法や費用、実績なども比較しましょう。
7.空き家を売ると税金が軽くなる制度も
相続した実家を売却する場合、一定の条件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
これは「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」と呼ばれる制度です。
主な要件には、次のようなものがあります。
- 相続などによって取得した対象の住宅や土地であること
- 原則として1981年5月31日以前に建築された住宅であること
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 原則として亡くなった方が一人で住んでいた住宅であること
- 相続後の使用状況などが要件を満たすこと
- 売却期限や売却代金などの条件を満たすこと
2026年10月時点では、対象となる譲渡期間は2027年12月31日までです。
また、相続人が3人以上の場合、控除上限が2,000万円となるケースがあります。
売却後の一定期間内に耐震改修や解体を行う方法が認められる場合もあります。
この特例は、売却代金から3,000万円を差し引く制度ではなく、一定の譲渡所得から控除する制度です。
適用には細かな条件と確定申告が必要です。
実家の売却を検討するときは、税理士や税務署に確認しましょう。
8.空き家の解体費用はいくら?
建物が老朽化している場合は、解体を検討することもあります。
費用は、構造や大きさ、立地条件によって大きく変わります。
解体費用に影響するもの
- 木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの構造
- 建物の延床面積
- 重機が入れる道路幅
- 家財道具の残存量
- アスベストの有無
- 隣家との距離
- 地下埋設物や擁壁の有無
解体には、建物本体以外にも家財処分や付帯工事などの費用がかかる場合があります。
そのため、金額だけで業者を選ばず、工事範囲を確認して複数の見積もりを比較しましょう。
なお、一定規模以上の解体工事では建設リサイクル法の届出が必要になる場合があります。
解体後は、建物の滅失登記なども忘れずに確認しましょう。
解体すると固定資産税が上がる?
住宅を解体すると、原則として住宅用地の特例が適用されなくなります。
そのため、翌年度以降の土地の固定資産税が増える可能性があります。
固定資産税は原則として毎年1月1日時点の状況を基準に課税されます。
解体時期によって税負担が変わる場合があるため、工事前に市役所へ相談しましょう。
9.松本市の空き家バンク・補助制度
松本市では、空き家の利活用を促進するため、空き家バンク制度や補助金制度を設けています。
松本市空き家バンク
空き家や空き地を売りたい・貸したい方と、利用したい方をつなぐ仕組みです。
一般の不動産会社で売却を検討するほか、空き家バンクへの登録も選択肢になります。
2026年度の補助制度
松本市では、空き家バンクへの登録に向けた家財処分費などに対する補助があります。
所有者向けの家財等処分費補助は、対象経費の2分の1以内、上限10万円です。
空き家バンクへの登録や掲載期間、対象業者への依頼など、条件があります。
また、登録物件を購入する方などを対象に、取得費・改修費・家財処分費に関する補助制度も設けられています。
補助金は予算の範囲内で交付され、申請時期や対象要件が定められています。
必ず契約や作業を始める前に、市の担当窓口へ確認しましょう。
公式案内:
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/site/benricho/3268.html
10.安曇野市の空き家バンク・補助制度
安曇野市でも、空き家の売却・賃貸・改修・解体などを支援する制度があります。
安曇野市空き家バンク
安曇野市内の空き家を売りたい方や貸したい方が、登録された仲介事業者を通じて物件を紹介する制度です。
市内への移住や定住を促進する目的もあります。
① 空き家の片付け・清掃補助
空き家バンクに掲載して売却・賃貸するための片付けや清掃などに対し、一定の補助があります。
対象経費の3分の1、上限10万円が基本です。
一部地域では補助率や上限額が異なります。
② 空き家の解体補助
空き家を解体し、土地を住宅用地として売却する場合などに、一定の条件で解体費用の補助があります。
対象経費の3分の1、上限は区域などに応じて最大30万~70万円とされています。
重点支援空家などは条件が異なる場合があります。
③ 登記・測量費用の補助
空き家バンクへの登録に必要な登記や境界測量などの費用について、対象経費の3分の1、上限20万円の補助制度があります。
※各制度は対象要件や併用条件が異なります。特に、契約や工事に着手する前の申請が重要です。
公式案内:
https://www.city.azumino.nagano.jp/site/akiya/104614.html
11.松本市・安曇野市の相談先
空き家の問題は、所有者だけで抱え込まず、早めに相談することが大切です。
松本市
松本市役所 住宅課など
空き家バンクや空き家対策、補助制度について、市の担当窓口に確認できます。
公式案内:
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/site/benricho/list388-1585.html
安曇野市
安曇野市役所 移住定住推進課 空家活用係
所在地:安曇野市豊科6000番地 本庁舎3階
電話:0263-71-2011
空き家バンクへの登録や利活用、関連補助制度について相談できます。
公式案内:
https://www.city.azumino.nagano.jp/site/akiya/94612.html
その他の相談先
- 相続登記:長野地方法務局松本支局、司法書士
- 売却・賃貸:宅地建物取引業者
- 相続税・売却時の税金:税務署、税理士
- 相続人同士の紛争:弁護士
- 建物の劣化や修繕:建築士、建築事業者
相談内容に応じて適切な窓口を利用しましょう。
12.遠方に住んでいて管理できない場合は?
親の実家が松本市や安曇野市にあっても、相続人が県外に住んでいることがあります。
頻繁に帰省できない場合は、管理代行サービスを利用する方法もあります。
例えば、次のような作業を依頼できる場合があります。
- 建物の外観点検
- 郵便物の確認
- 庭木や雑草の管理
- 換気・通水
- 雨漏りなどの異常確認
- 災害後の状況確認
サービス内容や料金、建物内への立ち入りの有無などは事業者によって異なります。
また、空き家になった場合、加入中の火災保険がそのまま適用されるとは限りません。
保険会社に住宅の使用状況を伝え、補償内容を確認しておきましょう。
13.実家の片付けで気をつけたいこと
空き家を売却・解体する前には、家財道具の整理が必要になることがあります。
しかし、思い出の品や重要書類を慌てて処分しないようにしましょう。
特に次のものは、慎重に確認することをおすすめします。
- 通帳・印鑑・保険証券
- 不動産の権利関係書類
- 遺言書
- 写真・アルバム
- 貴金属・骨董品
- 契約書・借用書
- 家族にとって大切な思い出の品
また、遺産分割が終わっていない場合は、相続人の一人だけで家財を処分するとトラブルになることがあります。
相続放棄を検討している場合も、財産の処分が法的な問題につながる可能性があるため、先に専門家へ相談しましょう。
不用品の処分を業者に依頼するときは、必要な許可を持つ業者かどうかも確認してください。
14.空き家を引き継いだときのチェックリスト
次の項目を順番に確認していきましょう。
□ 土地・建物の名義を確認した
□ 相続人全員で今後の方針を話し合った
□ 相続登記の期限を確認した
□ 固定資産税の金額を調べた
□ 建物の老朽化や危険箇所を点検した
□ 電気・水道・ガスの契約を整理した
□ 火災保険の補償内容を確認した
□ 家財道具や重要書類を整理した
□ 売却・賃貸・管理・解体を比較した
□ 不動産会社に査定を相談した
□ 空き家バンクの利用を検討した
□ 補助金の申請条件を確認した
□ 売却時の税金の特例を確認した
全部を一度に進める必要はありません。
まずは「現在の状態を把握すること」から始めましょう。
15.まとめ|実家をどうするかは、家族の未来を考えること
実家は、単なる土地や建物ではありません。
家族が一緒に食事をした場所。
子どものころに遊んだ庭。
何気ない会話を交わした居間。
そんな思い出が、家のあちこちに残っていることでしょう。
だからこそ、売却や解体を決めるのは簡単なことではありません。
けれど、何もしないまま年月が過ぎると、建物は傷み、管理の負担も増えていきます。
大切なのは、家族で話し合い、これからの暮らしに合った方法を選ぶことです。
家を残すことも、誰かに使ってもらうことも、手放すことも。
それぞれに意味のある選択です。
思い出を大切にしながら、未来へ向けて一歩を踏み出していきましょう。
よりみちくんのひとこと
「家って、不思議だよね。
誰も住まなくなっても、そこには家族の笑顔や思い出が残っている気がするんだ。
でも、思い出を大切にすることと、家をずっと残すことは、必ずしも同じじゃないと思う。
大切なのは、家族みんながこれからも安心して暮らしていけること。
家の形が変わっても、思い出まで消えるわけじゃないからね。
これからも、自分たちらしい道を歩いていこう。」
人生サイクル編を読んでくださった皆さまへ
誕生から成長、学び、仕事、結婚、子育て、介護、そして人生の終わりまで。
人生には、さまざまな節目があります。
今回の特別編では、大切な方を見送ったあとの手続きや、残された財産、住まいについて考えてきました。
人生の節目に、何をすればよいか分からなくなったとき。
この「人生サイクル編」が、皆さまの小さな道しるべになれば幸いです。
これからも「松本よりみち帖」は、松本・安曇野での暮らしに寄り添いながら、役立つ情報をお届けしていきます。
よりみちくんファミリーと一緒に、これからも楽しく、よりみちしていきましょう!


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