松本の名物グルメと聞いて、何を思い浮かべますか?
信州そば、山賊焼、信州サーモン……。
そして、もうひとつ忘れてはいけない松本の味があります。
それが、
「馬刺し」です。
鮮やかな桜色をした赤身を、生姜やニンニクと一緒に醤油でいただく馬刺し。
松本を含む信州では、古くから馬肉を味わう文化が受け継がれてきました。
でも、ここで少し不思議に思いませんか?
なぜ信州・松本で馬刺しが有名になったのでしょうか?
その背景をたどってみると、街道を行き交った馬、農村の暮らし、馬を扱った「馬喰(ばくろう)」、そして明治時代から続く松本の馬肉料理店など、興味深い歴史が見えてきます。
今回は、松本で馬刺しが有名になった背景から、おいしい食べ方、松本で馬刺しを楽しめるおすすめのお店まで紹介します。
なぜ信州で馬肉を食べるようになったの?
現在では「信州名物」として知られている馬肉ですが、もともと馬は食用としてだけ飼われていたわけではありません。
かつて馬は、農作業や荷物の運搬など、人々の生活を支える大切な存在でした。
農業機械もトラックもなかった時代。
畑を耕したり、重い荷物を運んだりと、馬は人々の暮らしに欠かせない存在だったのです。
信濃(長野県)と三河(愛知県)方面を結ぶ三州街道(伊那街道)でも、馬による荷物の運搬が盛んに行われていました。
長野県公式観光サイトによると、明治後期ごろから年老いた農耕馬を食べるようになったことが長野県の馬肉文化の始まりとされ、中南信を中心に馬肉を食べる文化が定着していったと紹介されています。
つまり馬肉は、単なる「珍しい郷土料理」ではなく、
馬とともに暮らしてきた信州の生活から生まれ、受け継がれてきた食文化
でもあるのです。
▶ 長野県公式観光サイト
「長野県に根付いた馬肉文化を追う~松本馬刺し編~」
馬肉文化を支えた「馬喰(ばくろう)」とは?
信州の馬肉文化を調べていくと登場するのが、
「馬喰(ばくろう)」
と呼ばれる人たちです。
馬喰とは、馬の売買や仲介などを行っていた人たちのこと。
馬肉を食べる習慣が広がるにつれて、年老いた農耕馬だけでは需要をまかないきれなくなり、馬喰たちが各地から馬を仕入れるようになったとされています。
さらに長野県公式観光サイトでは、馬肉を鍋で食べる「桜鍋」についても、馬喰が東京で食べたものを信州へ持ち帰ったとする説が紹介されています。
人や物が行き交うなかで、新しい馬肉の食べ方も信州へ伝わっていったのでしょう。

松本では明治20年に馬刺しが食べられていた?
松本と馬刺しの歴史を調べると、とても興味深い記録があります。
県立長野図書館による調査では、『47都道府県・肉食文化百科』という資料の中に、
1887(明治20)年の長野県松本市で馬刺しが食されたとする記述
があることが紹介されています。
ただし、県立長野図書館では「長野県における馬肉食そのものの起源や経過を体系的に説明した資料は確認できなかった」ともしています。
そのため「馬刺しは松本が絶対的な発祥地」と断定するのではなく、
少なくとも明治時代の松本には、馬刺しを食べる文化があったことを示す資料が残っている
と考えるのがよさそうです。
それでも明治20年といえば、今から100年以上も前。
松本と馬刺しの付き合いの長さがわかりますね。
▶ 国立国会図書館 レファレンス協同データベース
「長野県において馬肉を食するようになった起源や経過が知りたい。」
松本の馬肉文化を語る老舗「新三よし」
松本の馬肉文化を語るうえで、ぜひ知っておきたいお店があります。
**「馬肉バル 新三よし 松本本店」**です。
前身となる「料亭 三吉」は明治32年(1899年)創業。
現在も馬肉料理の専門店として、馬刺しだけでなく桜鍋など、さまざまな馬肉料理を提供しています。
100年以上にわたって馬肉料理の文化が受け継がれてきたことを考えると、松本の馬刺しは最近になって観光向けに作られた名物ではなく、地域の暮らしの中で育ってきた食文化であることがわかります。
馬刺しにはどんな部位があるの?
ひとことで「馬刺し」といっても、実はさまざまな部位があります。
代表的なのは、
- 赤身
- 霜降り
- たてがみ
- ハツ(心臓)
- レバー
など。
店や仕入れ状況によって提供される部位は異なりますが、それぞれ味や食感に特徴があります。
初めて馬刺しを食べるなら、まずは定番の赤身がおすすめ。
比較的あっさりとしていて、馬肉本来の旨味を感じやすい部位です。
いろいろ食べてみたい方は、複数の部位が入った「馬刺し盛り合わせ」を注文して食べ比べてみるのも楽しいですよ。
※部位の名称や提供内容は店舗によって異なります。

松本で馬刺しを食べるなら?おすすめのお店
① 馬肉バル 新三よし 松本本店
松本で本格的に馬肉料理を楽しみたいなら、まず候補にしたいお店です。
明治32年創業の流れをくむ馬肉料理専門店で、馬刺しはもちろん、桜鍋などさまざまな馬肉料理を楽しめます。
「せっかく松本へ来たから、馬刺しだけでなくいろいろな馬肉料理を食べてみたい」という方には特におすすめ。
松本駅から歩いて行けるのもうれしいポイントです。
住所:長野県松本市中央1-7-17 毛利ビル
② そば居酒屋 蔵のむこう
「信州そばも馬刺しも食べたい!」
そんな方にぴったりなのが、松本駅近くの**「そば居酒屋 蔵のむこう」**。
信州そばとともに、信州名物の馬刺しや郷土料理を楽しめます。
さらに信州の地酒も。
馬刺し+信州そば+信州の地酒
という、なんとも松本らしい組み合わせを一度に楽しめるのが魅力です。
松本駅から近いため、観光や出張の夕食にも利用しやすいお店です。
住所:長野県松本市中央1-2-21
③ 萬来(ばんらい)
松本駅前で郷土料理を楽しみたいときに候補にしたいのが**「萬来」**。
松本駅から歩いて行ける老舗の郷土料理居酒屋で、馬刺しをはじめ、松本山賊焼など信州らしい料理を楽しめます。
「馬刺しだけでなく松本名物をいろいろ食べてみたい」という方にもおすすめです。
住所:長野県松本市中央1-4-4
▶ 萬来 店舗情報
※独立した公式ホームページを確認できなかったため、店舗情報を確認できるページをご利用ください。
④ しづか
松本城や縄手通り、中町通りを散策したあとに立ち寄りやすいのが、大手にある**「しづか」**です。
落ち着いた雰囲気の中で、馬刺しをはじめとする信州の料理を楽しめます。
公式サイトのメニューにも馬刺しが掲載されています。
松本城周辺を観光したあと、
「夜は松本らしい料理をゆっくり楽しみたい」
というときにも候補にしたい一軒です。
住所:長野県松本市大手4-10-8

馬刺しのおいしい食べ方
初めて馬刺しを食べると、
「何をつけて食べればいいの?」
と思うかもしれません。
一般的なのは、
醤油+生姜
または、
醤油+ニンニク。
薬味を少しのせて醤油につけると、馬肉の旨味を楽しめます。
お店独自のタレや薬味が用意されている場合は、そのお店おすすめの食べ方でいただくのもいいですね。
そして、馬刺しと一緒にぜひ楽しみたいのが、
信州の地酒。
松本市公式観光サイトでも、馬刺しは生姜醤油やニンニク醤油で味わい、日本酒との相性もよい郷土グルメとして紹介されています。
昼は信州そば。
夜は馬刺しと地酒。
そんな「松本グルメ旅」も楽しそうですね。
▶ 松本市公式観光サイト「松本旅のしらべ」
松本で食べたいご当地グルメ
「松本産の馬だから有名」ではありません
ここは馬刺しについて誤解されやすいポイントです。
「松本で馬刺しが有名なら、松本で育てた馬を食べているの?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、現在松本で提供されている馬肉が、すべて松本産・長野県産というわけではありません。
大切なのは、
「馬の一大産地だから有名」というよりも、馬肉を食べる文化が長く受け継がれてきた地域である
ということ。
街道、農耕馬、馬喰、そして馬肉料理を提供してきた店。
さまざまな歴史が重なって、現在の松本の馬刺し文化につながっているのです。
信州そば・山賊焼だけじゃない!馬刺しも松本の味
松本には、おいしいものがたくさんあります。
信州そば。
山賊焼。
そして、
馬刺し。
なかでも馬刺しの歴史をたどってみると、馬が農作業や物流を支えていた時代から続く、信州の暮らしとの深いつながりが見えてきます。
農村で働いた馬。
街道を行き交った馬。
馬を扱った馬喰。
そして明治時代から馬肉料理を提供してきた店。
そんな歴史を少し知ってから食べる馬刺しは、また違った味わいがあるかもしれません。
松本を訪れたら、信州そばや山賊焼と一緒に、ぜひ馬刺しも味わってみてください。
鮮やかな桜色の一皿から、
松本のもうひとつの食文化
を感じてみてはいかがでしょうか。
関連・参考リンク
▶ 長野県公式観光サイト「Go! NAGANO」
長野県に根付いた馬肉文化を追う~松本馬刺し編~
▶ 松本市公式観光サイト「松本旅のしらべ」
松本で食べたいご当地グルメ
▶ 国立国会図書館 レファレンス協同データベース
長野県において馬肉を食するようになった起源や経過が知りたい。
※店舗の営業時間・定休日・メニュー・価格・馬刺しの提供内容などは変更される場合があります。来店前に各店舗の公式サイトなどで最新情報をご確認ください。
※掲載している馬刺しの画像・イラストにはイメージ画像を含みます。実際に各店舗で提供される料理とは異なります。



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