松本城から北へ歩くこと約10分。
白い壁に、青みがかった窓。
正面にはバルコニーがあり、その上には八角形の塔がそびえています。
初めて目にすると、
「これが明治時代の学校なの?」
と思ってしまうかもしれません。
ここが、松本市を代表する歴史的建造物のひとつ**「国宝 旧開智学校校舎」**です。
明治9年(1876年)に完成し、2026年にはついに創建150周年を迎えました。
松本というと、どうしても国宝・松本城に目が向きがちです。
しかし旧開智学校には、お城とはまったく違う「近代日本が始まった頃の松本」が残っています。
今回は、旧開智学校の歴史から建物の見どころ、館内展示、料金、アクセス、駐車場、そして2026年の創建150周年情報まで、初めて訪れる方にもわかりやすくご紹介します。

旧開智学校とは?
旧開智学校の前身となる開智学校が開校したのは明治6年(1873年)。
現在残る校舎は、その3年後の**明治9年(1876年)**に完成しました。
当時はまだ明治維新から間もない時代。
日本中で近代的な学校教育の仕組みが整えられ始めていた頃です。
そんな時代に、松本の人々は新しい学校をつくりました。
現在の私たちから見れば「学校があること」は当たり前ですが、当時はまったく違います。
新しい時代を担う子どもたちのために学校をつくること自体が、地域にとって大きな事業でした。
そして完成したのが、この開智学校校舎だったのです。
旧開智学校は「国宝」
旧開智学校校舎は、昭和36年(1961年)に重要文化財に指定。
そして令和元年(2019年)9月30日、国宝に指定されました。
近代の学校建築としては初めての国宝指定です。
松本市には「国宝 松本城」がありますが、そこに旧開智学校が加わったことで、松本では異なる時代を代表する国宝建築を見ることができるようになりました。
戦国時代から江戸時代へとつながる松本城。
そして明治という新しい時代を象徴する旧開智学校。
この二つを歩いて巡れることも、松本観光の大きな魅力です。
最大の見どころは「擬洋風建築」
旧開智学校を正面から眺めると、どこか西洋の建物のように見えます。
しかし、単純な洋館ではありません。
旧開智学校は、日本の伝統的な建築技術を持った職人が、西洋建築を参考にしながら造った**「擬洋風建築」**の代表的な建物です。
設計・施工を担当したのは、松本出身の大工棟梁立石清重(たていし・せいじゅう)。
まだ西洋建築についての情報が少なかった時代に、日本の大工の技術を使いながら「西洋らしい建物」を表現しました。
そのため、よく見ると、
・洋風の窓
・バルコニー
・八角形の塔
・和風建築の技術
・寺院建築を思わせる彫刻
など、さまざまな要素が一つの建物の中に共存しています。
遠くから見るだけではなく、ぜひ近くまで寄って細部を眺めてみてください。
「これは洋風?それとも和風?」
そんな不思議な発見がいくつもあります。
正面玄関をじっくり見てみよう
旧開智学校を訪れたら、すぐに館内へ入らず、まず正面から建物を眺めてみるのがおすすめです。
特に注目したいのが中央部分。
玄関の上にはバルコニーがあり、さらにその上には塔屋があります。
左右対称に近い美しい姿ですが、細部には明治初期ならではの独特な装飾が施されています。
現在の学校建築とはまったく違う華やかさ。
「これほど立派な学校をつくった」という事実からも、当時の松本の人々が教育にかけた思いが伝わってきます。

校舎の中にも明治の学校の面影
旧開智学校の魅力は外観だけではありません。
館内では1階と2階を見学することができます。
廊下や階段、教室などを歩いていると、150年前の学校へ迷い込んだような感覚になります。
展示されているのは、昔の学校教育に関係する資料や教科書、学校用品など。
現在とはまったく違う教育環境を見ることで、
「明治時代の子どもたちは、ここでどんな授業を受けていたのだろう」
と想像するのも旧開智学校ならではの楽しみ方です。
なお、校舎は明治9年の姿を保つ歴史的建造物のため、館内の移動は階段のみとなっています。
館内ではスリッパに履き替えます
旧開智学校を見学する際は、入口で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて入館します。
靴箱と下足袋が用意されています。
歴史的な木造校舎ですので、通常の博物館とは少し違った見学方法です。
館内は飲食禁止。
またフラッシュ撮影や展示ケース内資料の撮影はできませんので、現地の案内に従って見学しましょう。
実際に小学校として使われていた
旧開智学校は「昔の学校を再現して造った建物」ではありません。
本当に子どもたちが通っていた学校です。
明治9年に完成した校舎は、その後長い間使用され、昭和38年(1963年)3月まで小学校校舎として現役で使われていました。
つまり、明治・大正・昭和と、多くの子どもたちがこの校舎で学んできたことになります。
その後、校舎は移築・復原され、昭和40年(1965年)から教育博物館として公開されました。
美しい建築物であると同時に、「実際に使われ続けた学校」であることも旧開智学校の大きな魅力です。

2026年は創建150周年!
そして今、旧開智学校を訪れる大きな理由があります。
現在の旧開智学校校舎が完成したのは1876年。
つまり2026年は、
創建150周年。
旧開智学校では、この節目に合わせてさまざまな記念事業が行われています。
創建150周年記念特別展「立石家伝来の建築図面」
2026年秋には、創建150周年を記念した特別展
「立石家伝来の建築図面」
が開催されます。
開催期間は、
2026年9月19日(土)~11月23日(月・祝)
です。
旧開智学校を設計・施工した立石清重は、開智学校だけでなく、学校・裁判所・住宅など数多くの建築を手がけました。
今回の特別展では、立石家に伝わってきた建築図面を紹介。
国宝の附指定となっている開智学校の図面のほか、洗馬学校や松本裁判所などの図面、さらに新たに確認された「板図」も展示されます。
150年前の大工が、どのように建物を考え、形にしていったのか。
旧開智学校の建物そのものを見たあとに図面を見ると、より深く楽しめそうです。
特別展は通常の入館料で見ることができます。
耐震工事を終えて再び公開
旧開智学校は、2021年6月から耐震対策工事のため長期休館していました。
貴重な国宝建築を未来へ残すための大規模な工事です。
工事を経て再び一般公開され、現在は内部を見学することができます。
150年前の建物を「昔のもの」として保存するだけではなく、次の世代へ受け継いでいく。
そう考えると、現在見ている旧開智学校の姿もまた、長い歴史の途中なのかもしれません。
2026年9月現在、園路改修工事にも注意
2026年7月6日から9月中旬頃まで、敷地内では園路の改修工事が行われています。
校舎内部は通常通り見学できます。
ただし、工事中は敷地の一部が立入禁止になり、工事状況によっては校舎外観の一部が見えにくくなる場合があります。
9月中旬頃までに訪問予定の方は、出発前に公式サイトで最新状況を確認しておくと安心です。

旧開智学校の開館時間
開館時間
9:00~17:00
※最終入館16:30
休館日
休館日は季節によって異なります。
3月~11月
第3火曜日
※休日の場合は翌日
12月~2月
毎週火曜日
※休日の場合は翌日
このほか、
12月29日~1月3日
は休館です。
入館料
窓口で購入する場合は、
一般(高校生相当以上) 700円
小・中学生 300円
です。
20名以上は団体料金があります。
そして、ここで覚えておきたいのが電子チケット。
旧開智学校単独の電子チケットなら、
一般600円
で購入できます。
窓口購入より100円安くなります。
松本城と一緒なら共通券も便利
松本観光で旧開智学校を訪れるなら、多くの方が松本城にも行くでしょう。
電子チケットには、
松本城+旧開智学校 共通券
もあります。
一般は1,600円、小・中学生は600円。
さらに、
松本城
+旧開智学校
+松本市立博物館
+松本市美術館
を巡れる4館共通券もあり、一般2,600円です。
松本の主要スポットを一日~二日かけて回る方なら、選択肢に入れてみてもよいでしょう。
※料金・販売方法は変更される可能性がありますので、訪問前に公式サイトをご確認ください。
アクセス
所在地は、
〒390-0876
長野県松本市開智2-4-12
です。
松本駅から徒歩
JR松本駅から旧開智学校までは徒歩約25分。
駅から、
松本城
↓
旧開智学校
という順番で歩くと、松本観光のコースとして組みやすくなります。
バス
松本周遊バス「タウンスニーカー」北コースを利用できます。
「旧開智学校」バス停下車、徒歩約1分。
松本駅お城口から北コースが出ています。
歩くのが大変な方や、暑い日・雨の日などはこちらが便利です。
駐車場
旧開智学校には無料駐車場が約20台分あります。
校舎西側または南側の共通駐車場を利用できます。
ただし、駐車可能台数は多くありません。
特に観光シーズンやイベント開催時には混雑する可能性があります。
なお、隣接する松本市中央図書館の駐車場は旧開智学校見学用には利用できません。
車で訪れる場合は注意しましょう。
松本城から旧開智学校へ歩いてみよう
個人的におすすめしたいのが、
松本城 → 旧開智学校
というコースです。
松本城から旧開智学校までは徒歩でおよそ10分程度。
国宝から国宝へ歩いて移動できる、松本ならではの散策コースです。
松本城では戦国から江戸時代へ。
そこから少し歩いて旧開智学校へ行けば、一気に明治時代へ。
短い距離を歩くだけで、日本の歴史を何百年も進んだような感覚を味わえます。
隣の「旧司祭館」も見逃さないで
旧開智学校まで来たら、隣接する松本市旧司祭館にも注目してみてください。
旧開智学校とはまた違った雰囲気を持つ洋風建築です。
旧開智学校だけ見て帰ってしまう方もいるかもしれませんが、時間に余裕があれば周辺までゆっくり歩いてみるのがおすすめです。

見学時間の目安
建物と展示を普通に見て回るなら、
約30分~1時間
ほど見ておくとよいでしょう。
建築や昔の教育資料が好きな方なら、もう少し時間が欲しくなるかもしれません。
松本城とセットで観光する場合は、移動時間も含めて余裕を持った予定がおすすめです。
写真を撮るなら正面だけではもったいない
旧開智学校といえば正面から見た姿が有名ですが、ぜひ少し場所を変えて眺めてみてください。
正面全景はもちろん、
・塔屋
・窓
・バルコニー
・彫刻
・建物側面
・廊下
・階段
・教室
など、細部を見るほど面白い建物です。
150年前の職人がどのように「新しい時代の学校」を表現しようとしたのか。
カメラを向けながら探してみるのも楽しいと思います。

こんな方におすすめ
旧開智学校は、
松本城以外の国宝も見てみたい方
歴史的な建物が好きな方
レトロな雰囲気が好きな方
明治時代の学校教育に興味がある方
写真撮影を楽しみたい方
そして、
松本の歴史をもう少し深く知りたい方
に、ぜひ訪れてほしい場所です。
「松本城だけ」では見えない松本があります
松本を代表する観光地といえば、やはり松本城です。
もちろん松本城は素晴らしい場所です。
でも、そこからほんの少し北へ歩くだけで、まったく違う時代の松本に出会えます。
江戸から明治へ。
武士の時代から、近代教育の時代へ。
旧開智学校を眺めていると、松本という町が時代とともに変化してきたことが実感できます。
そして2026年。
この校舎は完成から150年という大きな節目を迎えました。
150年前、この場所で学んだ子どもたちは、今の松本の姿を想像できたでしょうか。
古い建物をただ「見る」のではなく、
ここで学んだ人たちのこと。
学校を造った人たちのこと。
そして、この建物を150年間守り続けてきた人たちのこと。
そんなことを少し想像しながら歩いてみると、旧開智学校の見え方が変わってくるかもしれません。
松本城を訪れた際には、ぜひもう少しだけ足を延ばしてみてください。
そこには、松本が誇るもう一つの国宝があります。
国宝 旧開智学校校舎 基本情報
所在地
長野県松本市開智2-4-12
開館時間
9:00~17:00(最終入館16:30)
休館日
3~11月:第3火曜日
12~2月:毎週火曜日
12月29日~1月3日
※休日の場合は翌日
観覧料(窓口)
一般700円
小・中学生300円
駐車場
約20台・無料
松本駅から
徒歩約25分
松本城から
徒歩約10分
バス
タウンスニーカー北コース「旧開智学校」下車徒歩約1分
※掲載内容は2026年9月時点で確認した情報です。開館状況・料金・イベント等は変更される場合があります。お出かけ前に公式情報をご確認ください。


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