ある日、ふと気づいた。
「あれ、前ほど不安に振り回されていないかもしれない」
以前の私は、いつも答えを急いでいた。
正解はどこにあるのか。
自分は間違っていないか。
そんなことばかりを考えて、動く前から疲れていた。
何か大きな出来事があったわけじゃない。
環境が劇的に変わったわけでもない。
それなのに、心の中のざわつきが、少しだけ静かになっていた。
変わりたい気持ちは強かった。
でもその分、「変われていない自分」を責めていた。
努力しているはずなのに、前に進んでいる実感がなくて、
気づけば自信なんて、ますます遠ざかっていた。
あるとき、考え方を変えた。
何かを足そうとするのをやめて、
代わりに、比べることをやめてみた。
昨日の自分と、今日の自分。
それだけを見て、
「今日はこれで十分だ」と言ってみた。
最初は違和感しかなかった。
甘えているんじゃないか。
成長が止まるんじゃないか。
そんな声が、頭の中で何度も聞こえた。
それでも、やめなかった。
無理に前向きになろうとせず、
無理に自信を持とうともしなかった。
ただ、できたことを一つだけ認める。
それだけを、毎日続けた。
すると不思議なことが起きた。
自信を「出そう」としなくなった頃から、
不安が、前ほど力を持たなくなっていた。
気づけば、以前なら立ち止まっていた場面でも、
少し考えて、少し迷って、それでも一歩踏み出している自分がいた。
自信は、作るものじゃなかった。
気合で身につけるものでもなかった。
静かな納得が、後からついてくるものだった。
人生が変わる瞬間は、たいてい地味だ。
誰にも気づかれないし、
自分でさえ、しばらく気づかない。
でも、心が少し軽い。
明日を考えるとき、以前ほど怖くない。
それだけで、十分すぎるほどの前進だと思う。
もし今、
「自分は何も変われていない」と感じているなら、
それは、まだ気づいていないだけかもしれない。
変化はいつも、静かに始まる。
そして、自信はそのあとから、そっと追いついてくる。


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