続けた者だけが、崩れなくなる
最初の三万円のあと。
私は
少しだけ期待していた。
このまま
増えていくのではないか。
そんな気持ちが
どこかにあった。
だが
現実は違った。
翌月。
ブログの収益は
大きく減った。
三万円どころか
数千円だった。
私は
パソコンの画面を見ながら
少し苦笑した。
「ああ、やっぱり」
昔の私なら
ここでやめていたかもしれない。
やる気になる。
少し結果が出る。
そして
結果が落ちる。
その瞬間に
やめてしまう。
そんなことを
何度も繰り返してきた。
だが
今回は少し違った。
私は
思考ノートを開いた。
そして
こう書いた。
芽は
毎日大きくならない。
それを書いたとき
ふと気づいた。
私は
それほど落ち込んでいなかった。
収益は減った。
だが
習慣は残っている。
朝の十五分。
文章を書く時間。
それは
まだ続いていた。
その日の夕方。
私は
いつもの公園へ行った。
老人は
ベンチに座っていた。
私は隣に座った。
「減りました」
私が言うと
老人はうなずいた。
「そうだろう」
私は少し笑った。
「驚かないんですね」
老人は言った。
「芽は
まっすぐ育たない」
私は
しばらく黙っていた。
老人は
ベンチの前を指した。
あの小さな芽は
少し大きくなっていた。
だが
葉の一つが枯れていた。
「枯れる葉もある」
私は
その芽を見つめた。
それでも
根は生きている。
老人は続けた。
「崩れなかったな」
私は少し驚いた。
「そうかもしれません」
老人は
小さくうなずいた。
「それが
大事だ」
夕方の空は
ゆっくり色を変えていた。
私は
空を見上げた。
収益は減った。
だが
不思議と焦りはなかった。
以前の私なら
慌てていた。
だが今は
ただ
水をやればいい。
そんな気持ちだった。
老人は
ゆっくり立ち上がった。
帰るようだった。
歩き出す前に
老人は言った。
「根が伸びている」
それだけだった。
私は
しばらくベンチに座っていた。
大きな木の葉が
夕方の風で揺れている。
私は
ノートを取り出し
その日のページに書いた。
減っても
崩れない。
その一行は
静かな言葉だった。
だが
そのとき私は
少しだけ
分かり始めていた。
人生は
急には変わらない。
だが
整えると
確かに変わっていく。


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