思考を拾う老人|第5話 小さな一歩|人生を変える習慣の始め方

思考の整理箱
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大きな変化は、いつも静かに始まる

その日から私は
毎朝ノートを書くようになった。

十五分。

それは
長いようで短い時間だった。

最初の一週間は
同じことばかり書いていた。

将来の不安。

お金のこと。

このままでいいのか。

だが
不思議なことに
少しずつ言葉が変わってきた。

ある朝
私はこんなことを書いた。


自分にできることは何だろう。


しばらく考えてから
もう一行書いた。


文章を書くのは嫌いではない。


それを書いたとき
ふと思った。

文章を書く仕事は
ないだろうか。

その日の朝、
私はスマートフォンで
「文章 仕事」と検索してみた。

すると
ブログというものが出てきた。

自分の文章を
インターネットに書く。

それを
読んでもらう。

中には
そこから収入を得ている人もいるらしい。

私は少し笑った。

そんなこと
自分にできるだろうか。

だが
やってみることくらいは
できるかもしれない。

その日の夕方。

私はいつもの公園に行った。

老人は
ベンチに座っていた。

私は隣に座った。

「小さな芽が出ました」

私が言うと
老人は静かにうなずいた。

「ブログを書いてみようと思います」

老人は
少し空を見上げた。

「いい」

それだけだった。

私は少し拍子抜けした。

「そんな簡単でいいんですか」

老人は言った。

「芽は
小さい」

「それでいい」

私は
昨日の草の芽を思い出した。

コンクリートの隙間から
出ていた小さな芽。

目立たないが
確かに生きていた。

老人は続けた。

「大きなことを
いきなりやろうとする」

「それで
人は続かない」

私はうなずいた。

それは
今までの自分だった。

本を買う。

やる気になる。

三日で終わる。

そんなことを
何度も繰り返していた。

老人は
ベンチから立ち上がった。

帰るのだろう。

歩き出す前に
老人は振り返った。

「水をやれ」

それだけだった。

私は
しばらくベンチに座ったまま
考えていた。

水をやる。

つまり

続けることだ。

その日の夜。

私は
パソコンの前に座った。

画面は
白いままだった。

何を書けばいいのか
分からない。

だが
とりあえず書いてみた。

今日
公園で考えたこと。

将来の不安。

思考を書く習慣。

そんなことを
ゆっくり書いた。

一時間ほどして
私は文章を書き終えた。

たいした内容ではない。

だが
私は少しだけ満足していた。

それは

自分で動いた

という感覚だった。

小さな一歩だった。

だが
確かに一歩だった。

私は
ノートを開き

その日のページに
こう書いた。


ブログを書く。


それは
とても小さな行動だった。

だがそのとき私は
まだ知らなかった。

その小さな一歩が
ゆっくりと
人生を動かしていくことを。

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