最初の収入が人生を変える理由|思考を拾う老人 第4話 最初の芽

思考の整理箱
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小さな結果が、現実を変え始める

老人に言われた通り、
私は三日間ノートを書いた。

朝、十五分。

思いついたことを
そのまま書くだけだ。

最初は
何を書けばいいのか分からなかった。

だが三日目になると
少しだけ変化があった。

頭の中にある考えが
少し見えるようになった。

私はずっと
同じことを考えていた。

将来の不安。

お金のこと。

このままでいいのか。

だが
それをただ頭の中で回していただけだった。

紙に書くと
それが並んだ。

すると
一つのことに気づいた。

私は
不安ばかり考えていて

何もしていなかった。

三日目の朝、
私はノートにこう書いた。


副収入を作るには
何をすればいいだろう。


しばらく考えてから
もう一行書いた。


文章を書くのは
嫌いじゃない。


それは
昔からそうだった。

若い頃
日記をつけていたこともある。

仕事でも
報告書を書くのは
それほど苦ではなかった。

私はノートを閉じた。

その日の夕方
いつもの公園へ行った。

老人は
ベンチに座っていた。

「三日続けました」

私が言うと
老人はうなずいた。

「どうだ」

「頭の中が
少し見えるようになりました」

老人は
静かに空を見上げた。

「思考は
書くと形になる」

私は
ノートに書いたことを話した。

文章を書くことは
嫌いではないこと。

老人は
しばらく黙っていた。

それから
小さく言った。

「それでいい」

私は少し戸惑った。

「それでいいんですか」

老人はうなずいた。

「人は
大きなことを考えすぎる」

「芽は
小さい」

私は
その言葉を繰り返した。

芽は小さい。

老人は
ベンチの足元を指した。

そこには
小さな草が生えていた。

コンクリートの隙間から
細い芽が出ている。

「最初は
これくらいだ」

私は
その小さな芽を見つめた。

たしかに
目立たない。

だが
そこにあった。

老人は立ち上がった。

帰るようだった。

歩き出す前に
老人は言った。

「続けろ」

それだけだった。

私は
しばらくベンチに座っていた。

大きな木の葉が
夕方の風で揺れている。

私は
ポケットからノートを取り出した。

そして
新しいページを開いた。

そこに
こう書いた。


文章を書くことを
試してみる。


それは
とても小さな一行だった。

だがそのとき私は
まだ知らなかった。

その小さな芽が
ゆっくりと
人生を動かしていくことを。

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