思考の整理箱③第2話|理解されたと感じたとき、人は変わる

思考の整理箱

🌱 思考の整理箱③|正しさの前に、置くもの
仕事や人間関係の中で感じた小さな違和感を、
六つの物語で静かに整理していく記録です。

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—正しさの前に、関心を置く—

第1話のあと、

私は少しだけ意識を変えた。

指摘する前に、聞く。
結論を出す前に、状況を知る。

それだけのことだ。

でも、それは思っているより難しい。


別の案件で、彼女が少し強い口調になったことがあった。

「それは今やるべき優先ではないと思います。」

会議室の空気が、わずかに張りつめた。

以前の私なら、すぐに言い返していた。

「全体を見ると、今はこっちだ。」

正しさは、こちらにある。

そう思った。

でも、私は一度だけ飲み込んだ。

「そう思った理由、聞いてもいいか?」

彼女は少し驚き、それから話し始めた。

「この案件、もし今動かすと、
他の二つが遅れる可能性があります。
それが怖いんです。」

怖い。

その言葉を聞いたとき、
私はようやく彼女の立場に立てた気がした。

優先順位の問題ではなかった。
守りたいものの問題だった。


結論は大きくは変わらなかった。

でも、伝え方は変えた。

「わかった。
じゃあ、ここは私がフォローする。
その代わり、この部分は頼めるか?」

彼女は小さくうなずいた。

会議は静かに終わった。

帰り際、彼女が言った。

「さっき、聞いてもらえて助かりました。」

それだけだった。

でも、その一言で十分だった。


人は、完全に納得しなくてもいいのかもしれない。

ただ、理解されようとしていると感じること。

それだけで、心は少し動く。

整理とは、消すことではなく、置き場所を決めること。

正しさの前に、関心を置く。

理解は、正論のあとではなく、
その前に置くものだった。

▶次の話
第3話|あなたの失敗は、思っているほど見られていない (作成中)

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