第11話|「何も起きていない日が、いちばん変わっていた」

人生アップデート

朝は特別なこともなく始まった。
目覚ましに驚くこともなく、ため息も出ない。
昨日と同じように起きて、同じように顔を洗って、同じようにコーヒーを淹れた。

「今日も、何も起きなかったな」

ふと、そんな言葉が頭をよぎる。
以前の自分なら、ここで少し焦っていたはずだ。
何かしなきゃ、変わらなきゃ、結果を出さなきゃ——
“動いていない自分”を、責める材料を探していた。

でも、今日は違った。

何も起きていないのに、心が落ち着いている。
数字を見ても、必要以上に一喜一憂しない。
「まあ、今日はこれでいいか」と、自然に思えた。

気づけば、考え方が変わっていた。

以前は「成果が出た日」だけが前進だった。
アクセスが増えた日、誰かに褒められた日、
目に見える“変化”がない日は、全部停滞だと思っていた。

でも今は、違う。

淡々と続けた日。
無理に頑張らなかった日。
不安に飲み込まれず、静かに過ごせた日。

そういう日こそ、
“ちゃんと自分を信じていた証拠”なんじゃないかと思えた。

変わるって、何かを足すことじゃない。
気負いを減らして、比べる癖を手放して、
「このままで進んでいい」と許すこと。

それができた日は、
外から見れば何も起きていない。
でも内側では、確かに地盤が固まっている。

今日も大きな成果はない。
でも、戻っていない。
揺らいでも、折れていない。

「この調子でいい」

そう思えた自分が、
少しだけ誇らしかった。

静かな一日だった。
そして、確実に前に進んだ一日だった。

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