第13話|「誰にも読まれていない時間」

人生アップデート

朝、スマホを開く。
アクセス数は、相変わらず静かなままだった。

「まあ、そうだよな」

そう呟いて、ため息をつくでもなく、画面を閉じる。
不思議と心は乱れていなかった。

以前の自分なら、数字を見た瞬間に気持ちが沈み、
「意味があるのか?」
「誰も見ていないのに?」
そんな声が、頭の中を占領していたはずだ。

でも今は違う。

書いている時間そのものが、
自分を整えてくれている感覚があった。

文章にすると、考えが整理される。
書き終えると、少しだけ前に進めた気がする。
それは、誰かの評価とは関係のない、確かな実感だった。

——これって、いつからだろう。

思い返せば、最初は結果ばかりを追っていた。
数字、反応、評価。
それがなければ「失敗」だと、勝手に決めつけていた。

でも今は、
「今日も書いた」
「逃げずに向き合った」
それだけで、胸の奥が少し温かくなる。

誰にも読まれていないこの時間は、
決して無駄じゃない。

むしろ、
一番大事な準備期間なのかもしれない。

芽が出る前の土の中。
誰にも見えないところで、根が伸びている。

焦らなくていい。
比べなくていい。

この静けさの中で、自分は確実に変わっている。

スマホを置き、深く息を吸う。
そして、またキーボードに向かった。

——今日も、書こう。
未来の自分のために。

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